前の記事 「苦手を認める」ことが学びの第一歩になる──保護者としての正しい関わり方
はじめに:「認める」と「否定する」は違う
子どもが何かを苦手としているとき、
「そんなことないよ、大丈夫!」「あなたはできる子だから!」
と励ましの言葉をかける保護者は多いでしょう。
しかし、その“励まし”が、かえって子どもの成長の妨げになることがあります。
特に、「苦手を認めること=自己肯定感を下げること」と考えてしまう保護者が少なくありません。
でも実際には、「苦手を正しく認識できること」は、むしろ自己肯定感を“土台から強くする”行動なのです。
なぜ「苦手を隠す」と自己肯定感は育たないのか
一見すると、苦手な部分を否定せずに「大丈夫!」と押し出すことは、
子どもの自信を支えるように思えるかもしれません。
しかし、その励ましが「現実を見ないこと」や「自分を過大評価すること」につながると、
やがて以下のような壁に直面します:
- 注意されたときに「自分は悪くない」と反発する
- できなかったときに「自分はやっぱりダメなんだ」と過剰に落ち込む
- 挑戦することそのものを避ける
これでは、“本当の自信”は育ちません。
本来の自己肯定感とは「今の自分を客観的に理解しながら、肯定できる力」
- 自分には得意なこともある
- そして、苦手なこともある
- その上で「努力すれば成長できる」と思えること
これが、“現実を直視できる強さ”と“前向きな姿勢”の両立です。
自己肯定感は、できるふりをすることで育つのではなく、
「できない自分」も認めたうえで、「それでも取り組もう」とする姿勢の中でこそ育まれます。
保護者ができるサポート:正直なフィードバックと安心のセット
「それ、ちょっと雑になってるね」
「今は集中が切れていたかもしれないね」
といった客観的な指摘を、
「でも、それに気づけたのはすごいことだよ」
「どうすれば次はうまくできるかな?」
という“前向きな問い”とセットで伝えることが大切です。
子どもは、大人が現実を認めながらも肯定してくれる姿に安心し、
自分も「弱さを受け入れた上で努力できる人間なんだ」と感じられるようになります。
まとめ:「励まし」ではなく「認知と支援」へ
- 苦手を認めることは、自己否定ではなく、自己理解です
- 自己理解があるからこそ、行動の改善や挑戦が可能になります
- 本当の自己肯定感とは、「努力できる自分」を信じる力です
保護者が子どもの苦手から目をそらさず、
冷静に認めたうえで前向きに支援していく──
その関わりが、子どもにとって最大の安心と成長の土台になります