読解練習:このまま、何も言わないままで【Lv.13|高3向け】
高3の春、クラス替えでまた同じクラスになった。
1年のときからなんとなく話すようになって、2年では同じ委員で、よく一緒に残って作業した。
特別なことは何もなかった。でも、話すと落ち着いた。
最近、ふとした沈黙が気になる。
以前なら、無言でも平気だったのに、今は「何か言わなきゃ」と焦る。
相手が楽しそうに笑っていると、なぜかそれだけで安心する自分がいる。
これは「友だちとして」なのか、「それ以上」なのか。
決めなくてもいいはずなのに、自分の中で勝手に境界線を引いてしまう。
言葉にしたら、何かが変わる気がして、言えないままでいる。
卒業まで、あと10か月。
「このままでいたい」と「このままじゃいやだ」が、心の中でせめぎあっている。
本当はもう、答えなんてわかっている気がするのに。
◆ 問題
- 筆者は、相手に対してどのような気持ちを抱いていますか?その気持ちはどのように変化していますか?
- 「言葉にしたら、何かが変わる気がして、言えない」という思いには、どんな不安や覚悟が含まれていますか?
- あなたが「このままでいたい」「でも変えたい」と思った経験はありますか?そのとき、どう行動しましたか?
- 恋愛に限らず、「伝えること」と「伝えないこと」にはそれぞれどんな意味があると考えますか?
◆ ポイント
- 「好き」という感情の手前でゆれる内面を、丁寧に読み取る。
- 沈黙や言葉にしない思いが関係に与える影響について考える。
- 「言わないままのやさしさ」と「言いたいけど言えない苦しさ」の両面を、自分の経験と重ねてとらえる。