未就学児にこそ「STEAM教育」を──遊びの中に未来を育てる学びを


1. STEAM教育とは?

STEAM(スティーム)教育とは、以下の5つの領域を横断的に学ぶ教育のことです:

  • S(Science) 科学
  • T(Technology) 技術
  • E(Engineering) 工学
  • A(Arts) 芸術・表現
  • M(Mathematics) 数学

これらを「単独の科目」としてではなく、体験やプロジェクトの中で組み合わせて学ぶのが特徴です。

特に未就学児の段階では、

“遊び”や”好奇心”を出発点に、五感と身体を使って学ぶことがSTEAM教育の本質になります。


2. なぜ今、未就学児にSTEAM教育が注目されているのか?

  • 社会の変化が激しく、“正解のない問い”が日常になるこれからの時代
  • AIやロボットと共存する社会で「人間にしかできない力」がより重要に
  • 幼児期は、創造性・思考力・表現力の土台が最も柔軟に育つ時期

小学校に上がる前の”遊び”が、思考力・探究力・表現力の”芽”を育てる

という視点から、多くの家庭や教育現場で導入が進んでいます。


3. STEAM教育の具体的な内容(未就学児編)

  • 科学(S)… 氷が溶ける様子を観察、植物の育ち方を記録、磁石で遊ぶ
  • 技術(T)… 身近な道具や機械を分解・観察、簡単なデジタル機器に触れる
  • 工学(E)… 積み木やブロックで橋や家をつくる、ピタゴラ装置を試行錯誤
  • 芸術(A)… 絵を描く・音をつくる・物語を作ることで“伝える力”を育む
  • 数学(M)… 模様や数の規則に気づく、大小・順序・比較などで遊ぶ

4. STEAM教育のメリット

◎ 創造力を養う

自由な表現やものづくりを通して、”考える→試す→やり直す”のループを自然に体験。

◎ 問題解決力が身につく

「どうしたらうまくいくか」「なぜ失敗したのか」を試行錯誤する力が育つ。

◎ 論理的思考が養われる

順序立てて考える、理由を説明するなどの“考え方の筋道”が身につく。

◎ 自己表現力・対話力が伸びる

「自分の考えを相手に伝える」経験が増えることで、言語化・対話の基礎が培われる。

◎ 学ぶことそのものを「楽しい」と感じる

「なぜ?」「どうなる?」という知的好奇心が学びのエンジンに。


5. 家庭でできるSTEAM的アプローチ

  • お風呂で「浮く・沈む」実験をしてみる(科学)
  • 廃材で家や街を作ってみる(工学・アート)
  • 数を使った歌やカード遊び(数学)
  • 絵本の続きを一緒に考える(創造と表現)

教えるより、”一緒にやってみる”姿勢がSTEAMの第一歩です。


まとめ:未来につながる「遊びの質」を変えていこう

STEAM教育は、特別な教具やカリキュラムがなくても始められます。
大切なのは、

  • “なぜ?”を大切にすること
  • “できた!”より”やってみたい!”を育てること
  • 子どもの探究心を止めず、広げる関わり方

未就学児期の”遊び”が、思考・表現・創造の土台をつくります。

「正解のある問題」ではなく、「もっと考えたい問い」が育つ時間こそ、未来を生きる子どもにとって最も価値ある学びのはじまりです。

保護者・教育者向け子供とのかかわり方