読解練習:知らない中に飛びこんだ私【Lv.8|中3〜高1向け】
カナは中学の友だちがほとんど行かない高校に入学した。
合格したときはうれしかったけれど、入学式の日、周りを見ても知っている顔が一人もいないことに気づいた。
話しかけようと思っても、何を話せばいいのかわからない。
「同じ制服を着ているのに、同じ場所にいるのに、どうしてこんなに一人なんだろう」と感じた。
教室では笑い声が聞こえる。でも自分は、そこに入っていけない気がした。
カナは「どうしてこの高校を選んだんだろう」とさえ思ったけれど、
放課後、図書室で同じように一人で本を読んでいる子と、ちょっとだけ目が合った。
「もしかしたら、この人も少し似た気持ちなのかもしれない」と思った。
話しかける勇気はまだ出ない。でも、少しだけ気持ちが軽くなった。
◆ 問題
- カナが「どうしてこの高校を選んだんだろう」と思ってしまったのは、どんな気持ちからでしょうか?
- 図書室での場面で、カナの気持ちにどんな変化があったと考えられますか?
- あなたが「まわりに知り合いがいなくて不安だった」経験はありますか?どのようにその気持ちと向き合いましたか?
- 「話しかける勇気はまだ出ない。でも少し気持ちが軽くなった」とは、どんな意味だと思いますか?あなたなりに考えてみましょう。
◆ ポイント
- 環境の変化が人に与える不安や孤独の感覚を自分のこととして感じ取る。
- 「誰かとわかり合えるかもしれない」という小さな希望に注目する。
- 新しい場所での人間関係の始まりに必要な勇気や時間について考える。