読解練習:“ふつう”の中のやさしさ【Lv.11|高2目安】
バスの中で、小さな子どもが大きな声で話していた。
それを見た年配の女性が、「静かにしなさい」と注意した。
近くにいた父親は「すみません」と頭を下げながらも、子どもに無理やり黙るようには言わなかった。
その様子を見ていた私は、どちらが“正しい”のか分からなくなった。
公共の場では静かにするべき、という“ふつう”がある。でも、子どもにとってはそれがどれだけ難しいことかも知っている。
その親は、周りを気にしながらも、子どもに対してやさしさを選んだのかもしれない。
けれど、そのやさしさは、社会の中では非常識とされることもある。
「ふつう」であることと、やさしくあることが、時に相容れないと知った。
◆ 問題
- 筆者は、バスの中の出来事を見て何に疑問を持ちましたか?
- 「ふつう」とされる行動と、父親のとった行動はどのように違っていましたか?
- 筆者は、この場面での「やさしさ」とはどのようなものだと考えていますか?
- あなたは、“ふつう”に反する行動がやさしさになると感じた経験はありますか?そのとき、どう判断しましたか?
◆ ポイント
- 社会的規範(公共マナー)と個人の思いやりがぶつかる場面でのジレンマに注目する。
- “ふつう”は誰が決めているのか、どこまで守るべきなのかを考察する導入に。
- 一見「ルール違反」に見える行動に含まれる意図や価値を読み取るトレーニングとして活用。