◆ パンツを探すだけで、こんなに学びが詰まってる!
『しろくまのパンツ』は、白いしろくまが「ぼくのパンツがない!」と困っているところから始まるお話。
ねずみと一緒に、いろいろな動物たちのパンツを見ながら、持ち主を当てていく――というユニークな構成です。
色とりどりのパンツ、さまざまな動物たち、そして最後には……「えっ!?」と驚くオチが待っています。
この絵本の魅力は、
- 楽しく予想する「推理力」
- かたちや模様から「考える力」
- 自分の目で確かめる「観察力」
まさに、遊びながら“思考”の芽を育てられる一冊なのです。
◆ なぜ「しろくまのパンツ」で問いかけが効くのか?
この絵本は、読み聞かせ中に自然とこう言いたくなるはずです。
「このパンツ、だれのかな?」
「なんでこの動物のパンツはこうなってるの?」
「しろくまのパンツって、何色だったっけ?」
「えっ!?パンツ、実ははいてたの!?」
こうした問いは、子どもたちの予想→確認→発見のサイクルを生み出します。
そして、「当たった!」「ちがった!」の繰り返しの中で、ことばにする力、考える力、観察する力がどんどん育っていくのです。
◆ 育てられる5つの力
育つ力 | 内容 | しろくまのパンツでの例 |
---|---|---|
推理力 | ヒントをもとに考えて予想する力 | 「このパンツはだれの?」 |
観察力 | 模様・色・形に注目する力 | 「このパンツには何が描いてある?」 |
記憶力 | 出てきた動物やパンツを覚える力 | 「さっき見たパンツは何色だった?」 |
表現力 | 自分の考えをことばで伝える力 | 「どうしてこのパンツはカメのじゃないと思う?」 |
ユーモア理解 | オチや展開を楽しむ力 | 「さいご、どうしてしろくまは恥ずかしかったの?」 |
◆ 年齢別『しろくまのパンツ』の質問例
🔸 3〜4歳向け:色・形・持ち主の一致を楽しむ
「これはだれのパンツ?」という問いだけでも、子どもは大盛り上がり。
視覚的特徴とキャラクターを結びつける遊びになります。
質問例 | ねらい |
---|---|
「このパンツ、だれのかな?」 | 推理・想像 |
「まるいもようのパンツって、どんな動物がはいてそう?」 | 特徴と連想の結びつけ |
「ピンクのハートは、すき?」 | 感性・好みの言語化 |
「しろくまのパンツ、なんで見つからなかったの?」 | 見落としの発見・ユーモア理解 |
🔸ポイント:ページをめくる前にクイズのように問いかけると、集中力がぐんとUP!
🔸 5〜6歳向け:理由・予想・オチの意味を深く考える
動物とパンツの関連性や、オチの面白さ・皮肉さまで一緒に味わいましょう。
質問例 | ねらい |
---|---|
「このパンツが○○のじゃないと思った理由は?」 | 否定的思考・論理の構築 |
「しろくまは、なんで“パンツがない”って思ったのかな?」 | 自己理解・誤認識の分析 |
「ねずみは、さいごに何を思ったかな?」 | 他者視点の想像 |
「このお話のいちばんおもしろいところはどこ?」 | ユーモア感覚と自己表現 |
🔸ポイント:「正解」ではなく、「そう思った理由」に注目してあげると、発言が広がります。
◆ 読み聞かせで、“考える楽しさ”を育てよう
『しろくまのパンツ』は、見て・笑って・当てて・驚くという楽しいサイクルがつまった絵本。
そこにほんの少し問いかけを加えるだけで、
**「考える→話す→また考える」**という循環が自然と生まれます。
絵本を読んでいるだけで、子どもたちは
- 「こうかな?」
- 「ちがった!」
- 「あってたー!」
と、自分の“考え”を試してみる習慣を身につけていきます。
◆ さいごに:しろくまのパンツは、“じぶんで気づく”学びのスタート
『しろくまのパンツ』のオチは、「実はしろくま、最初からパンツはいてた!」という展開。
これを「おかしいね!」で終わらせるのではなく、
「なんでしろくまは気づかなかったんだろう?」
「パンツをさがしてたのに、なんではいてることに気づかなかったの?」
と問いかけることで、観察・認識・気づきの大切さを自然に学ばせることができます。
次に読むときは、こう聞いてみてください。
「しろくまのパンツって、はじめから見えてた?」
「きみは、しろくまに教えてあげたくなった?」
その一言が、“見る力”や“考える力”をそっと引き出すスイッチになります。