『はらぺこあおむし』で育てる5つの力―たべる・変わる・そだつ。楽しい問いかけが学びの芽を育てる―


◆ 食べて、動いて、変わっていく。“成長の物語”

カラフルで目をひく絵と、ページに穴が空いたしかけが楽しい『はらぺこあおむし』。
でもこの絵本は、ただの「食べる話」ではありません。

  • 月曜日から日曜日までの曜日感覚
  • 1個、2個……と増えていく数の概念
  • 小さな卵からチョウになる生き物の変化
  • お腹をこわしたあとの「回復」や「選択」
  • そして、何よりも“育つ”ということ

この絵本は、子どもが「知る・感じる・話す」を自然に体験できる教材です。


◆ “読んでおしまい”じゃ、もったいない!

『はらぺこあおむし』には、読み終わったあとに自然と聞きたくなる問いがたくさんあります。

「なんでおなかがいたくなっちゃったのかな?」
「いちばんたくさん食べたのは、何曜日だった?」
「どうして“さなぎ”になったんだろうね?」
「チョウになったとき、どんな気持ちだったと思う?」

こうした問いかけを交えて読むだけで、読解・論理・感情・科学への興味が広がります。


◆ 質問が育てる5つの力

育つ力内容はらぺこあおむしでの例
読解力順序・数量・変化を理解する力「月曜日には、何を食べた?」
数・論理数量・増減・順序を把握する力「どんどんたべる量がふえていったのはなぜ?」
感情理解状態の変化や気持ちを考える力「おなかがいたいとき、どんな気持ちだったと思う?」
科学的思考生き物の変化・成長への関心「あおむしは、どうして“さなぎ”になるの?」
表現力自分の言葉で説明したり話す力「いちばん食べたいものはどれ?どうして?」

◆ 年齢別『はらぺこあおむし』の質問例


🔸 2〜3歳向け:食べ物・曜日・数を楽しく覚える

視覚・リズム・感覚をたのしむ「確認型の問い」が最適です。

質問例ねらい
「これはなに?」(食べ物を指さして)名詞と語彙の習得
「いちばんさいしょに食べたのは、なに?」出来事の順序
「いくつたべたかな?」数への関心
「いちばんすきなのは、どれ?」自己表現と選択

🔸ポイント:「一緒に数えてみよう!」など、リズムややりとりを重視しましょう。


🔸 4〜5歳向け:食べすぎや変化の意味にせまる

ストーリーの展開や状態の変化に気づかせていく問いが効果的です。

質問例ねらい
「どうしてあおむしは、どんどん食べたの?」欲求・成長への理解
「おなかがいたくなったのは、なにを食べたあと?」原因と結果の関係
「そのあとの“みどりのはっぱ”は、なんでよかったの?」回復と選択の理由
「“さなぎ”って、なに?」生き物の変化の認識

🔸ポイント:「よかった食べ方はどれかな?」など、生活にもつなげてみましょう。


🔸 5〜6歳向け:“育つ”こと・“変わる”ことを深める

この年齢では、「成長」や「生まれ変わり」に着目して、内面の変化にも言葉を与えていきましょう。

質問例ねらい
「なぜ“チョウ”になるまでに時間がかかったの?」成長の過程への気づき
「あおむしは、どんな気持ちだったと思う?」感情理解と想像
「チョウになるって、どんなこと?」変化の象徴の理解
「“がんばる”と“そだつ”って、どうちがう?」抽象的テーマの考察

🔸ポイント:比喩(「あおむし=子ども」)に気づかせると、深い対話になります。


◆ 読み聞かせの時間が“変わる”チャンスになる

『はらぺこあおむし』は、子どもが自分の体験(おなかがすいた/食べすぎた/がんばった)と重ねて読める絵本です。

だからこそ、

「これ、きみと同じところある?」
「おなかいたくなったこと、ある?」
と問いかけていくことで、物語が“じぶんのこと”として心に残っていきます。


◆ さいごに:成長の一歩を、いっしょに見つけよう

この絵本の最後に、あおむしはきれいなチョウになります。
それは、**たくさんたべたからでも、つよくなったからでもなく、「じぶんで時間をかけて変わったから」**です。

大人が問いかけながら読んであげることで、子どもも

  • 「食べる」こと
  • 「がんばる」こと
  • 「変わる」こと

を、ことばや心で受け止めていけるようになります。

次に読むときは、ぜひこう聞いてみてください。

「チョウになったあおむし、どんな気持ちだったと思う?」
「きみは、どんなふうに“そだって”ると思う?」

その一言が、子どもの“こころのさなぎ”をそっとひらくきっかけになります。