読解練習3:言葉にすることで変わること【Lv.5|中1〜中2目安】
ある日、友人とけんかをした。お互いに言い分があり、どちらも「自分が正しい」と思っていた。でも時間が経つにつれて、私は自分の中にあったモヤモヤの正体が分からなくなってきた。
そんなとき、担任の先生に「一度、自分の気持ちを文章にしてごらん」と言われた。しぶしぶ紙とペンを手に取り、頭に浮かんだことを言葉にしてみた。すると、「腹が立った」よりも、「分かってもらえなかった」「話を聞いてもらえなかった」ことが本当の理由だったと気づいた。
言葉にしなければ分からなかった。誰かに伝えるために書くことで、自分の本当の気持ちに出会えたように思えた。それは、ただ考えているだけでは得られなかった発見だった。
言葉は、相手に伝える手段であると同時に、自分の気持ちや考えを整理する道具でもある。言葉にすることで、自分自身と向き合えるのだと、そのとき知った。
◆ 問題
- 要約:この文章の内容を、40〜60字でまとめなさい。
- 内容理解:筆者の気づきとして最もふさわしいものを1つ選び、理由を説明しなさい。
- A. 友人とけんかしたらすぐに謝ることが大切
- B. 書くことで自分の気持ちが整理されることがある
- C. けんかはできるだけ避けたほうがよい
- D. 他人の意見は聞かなくてもいい
- 自分の考え:あなたは、言葉にして気持ちが整理できた経験がありますか?あればそのときのことを、なければ「なぜそう思うのか」を書きましょう。(100字程度)
- 構造理解:この文章の展開に最も近いものを1つ選びなさい。
- A. 主張 → 根拠 → 結論
- B. 体験 → 提案 → 理由 → まとめ
- C. 経験 → 気づき → 一般化 → 教訓
- D. 説明 → 例 → 感想 → 警告
◆ 解答・指導のヒント
- 問1:要約には「書くこと」「気づき」「感情整理」などの語を含めるとよい。
- 問2:正解は「B」。言語化による自己理解の深まりを捉える。
- 問3:自分の体験を振り返る記述を促す。実体験がなければ仮想事例でもよい。
- 問4:構成は「C」。経験 → 気づき → 一般化 → 教訓の順。