読解練習:それでも、信じることを選ぶ理由【Lv.15|高3以上】
信じた人に裏切られたことがある。
そのとき、「もう誰のことも信じたくない」と思った。
疑うことは自分を守る手段だ。期待しなければ、傷つかずにすむ。
それでも——ある日出会った人の言葉を、また「信じたい」と思ってしまった自分がいた。
根拠も確信もなかったけれど、信じることで「自分がどうありたいか」がはっきりした気がした。
信じるという行為は、相手のためであると同時に、自分自身の“あり方”でもあるのかもしれない。
世界を疑って生きるのも、世界を信じて生きるのも、どちらも自由だ。
けれど、自分が“信じることを選べる人間”でいたい——そう思ったとき、もう一度だけ信じてみようと決めた。
◆ 問題
- 筆者は、なぜ「誰も信じたくない」と思うようになりましたか?
- それでも「信じたい」と思ったのは、どのような気持ちからだったのでしょうか?
- 「信じることは自分自身のあり方でもある」とはどういう意味ですか?
- あなたは「信じること」を選んだ経験がありますか? それはなぜでしたか?今ならどう考えますか?
◆ 指導のヒント
- 「信じる/信じない」は論理ではなく、選択であるという視点を持たせる。
- 人を信じることは、自分の生き方・人間観を表す行為でもあると気づかせる。
- 哲学的な問い「人はなぜ信じるのか?」「信じることで何を得ているのか?」への対話の入り口に。