読解練習:うまく言えなかっただけなのに【Lv.8|中3〜高1目安】
友達との会話の中で、ふと違和感をおぼえた。
「それって、ちょっとちがうと思う」と言いたかった。でも、何がどう違うのか、自分でもはっきりわからなかった。
なんとなく変だな、と思っただけ。
だから言えなかった。
黙っていたら、相手に「なんで何も言わないの?」と責められた。
でも、本当に“なにも思っていなかった”わけじゃない。ただ、うまく言葉にできなかっただけ。
そんなこと、誰にでもあると思うのに、伝わらない。
伝えようとすることだけが大切なんじゃなくて、言葉にできない気持ちにも、ちゃんと意味があるんじゃないかと思う。
◆ 問題
- 筆者は、なぜ「ちがうと思う」と言えなかったのでしょうか?
- 「うまく言えなかっただけなのに」という言葉には、どんな思いがこめられていますか?
- あなたが「言いたかったけどうまく言えなかった」経験はありますか?それはどんな状況でしたか?
- 言葉にできない気持ちにも意味があるという筆者の考えに、あなたはどう思いますか?
◆ ポイント
- “言えない=何も考えていない”とは限らないということに気づかせる。
- 感情や違和感の「言語化前」の段階にある心の存在を考える読解。
- “黙る自由”や“うまく言えない人の尊重”といった対人理解につなげる導入教材。