読解練習:やさしさは、正しさを超えられるか【Lv.14|大学・一般教養】
A市の高校では、進学校らしい厳格な規則が敷かれている。
髪型や持ち物の制限はもちろん、スマートフォンの使用も禁止されていた。
しかし、ある日、Bさんはスマホを校内で使用しているところを見つかった。
実は、遠方の病院に入院している母親と連絡をとるためだった。
規則違反として、担任は反省文と保護者呼び出しを行った。
一方で、同僚の教師は「やさしさとは何か考えるべきだ」と言った。
その規則が「全員にとって正しい」とは限らない。
やさしさが許される場面、正しさが貫かれる場面。その境界線は、どこにあるのか。
◆ 問題
- Bさんの行動は、なぜ規則に反するものとされたのでしょうか?
- 筆者は、「正しさ」と「やさしさ」の関係をどのように問いかけていますか?
- あなた自身は、Bさんの行動をどう評価しますか?「やさしさ」と「ルール」のどちらを優先すべきだったと思いますか?
- 社会の中で「正しさ」とされることが、本当にすべての人にとって正しいとは限らないと感じた経験があれば、書いてみましょう。
◆ ポイント
- 「制度」や「規範」のもつ暴力性と、それを超えようとするやさしさの葛藤を浮き彫りにする。
- 個別事例の中にある普遍的な倫理・制度批判の視点を持たせる。
- 個人と社会の「正しさ」の衝突における線引きを、自分なりに考えさせる設問構成。