「どうせやってもムダ」「自分には無理だよ」——
まだ小学生や中学生なのに、そんなあきらめの言葉を口にする子どもが増えています。
背景には、失敗への恐れと、それを避けたいという自己防衛の気持ちがあることが多いのです。
今回は、そんな子どもたちの心に寄り添い、“できるかも”の芽を育てる保護者の関わり方をご紹介します。
なぜ子どもは「無理」と言うのか?
成績がふるわない、友だちと比べられた、過去に怒られた——
こうした経験を重ねるうちに、子どもは「失敗=恥ずかしい」「頑張る=損」と考えるようになります。
また、「できないことを認めたくない」ために、先に“無理”と言って自分を守るのです。
これは怠けているのではなく、心の自己防衛反応。
叱ったり責めたりすると、ますます自信を失い、チャレンジしなくなってしまいます。
子どもの“心の壁”を壊す3つの接し方
① 「できない」ではなく「やり方がまだ分からない」
失敗を「才能不足」ではなく、「やり方が合っていなかっただけ」と捉える視点を育てましょう。
例:
- ×「なんでこんなことも分からないの?」
- ○「この方法は合わなかったかも。別のやり方試してみようか」
失敗=工夫のチャンスだと気づかせることが、自信につながります。
② 結果ではなく“過程”を褒める
テストの点数より、「机に向かった」「自分で調べた」などの行動そのものを認める声かけを。
例:
- 「ちゃんと見直ししててえらいね」
- 「わからないところを調べようとしたの、すごいよ」
「がんばれば認めてもらえる」という実感が、次の行動への原動力になります。
③ 小さな成功体験を積ませる
“無理”という思い込みを打ち消すには、「できた!」という実感が何より効果的です。
- やさしめの問題から始めて確実に正解させる
- 1日5分だけの学習でもOK
- 解けた問題には必ず○をつける
「成功の記憶」が、挑戦への自信を支えてくれます。
保護者が“自己肯定感の土台”になる
子どもにとって、親の言葉は心の鏡。
「失敗しても大丈夫」「あなたには力がある」と伝える存在が家庭にあることは、学力以上に価値のある安心感を生み出します。
できる・できないよりも、「挑戦していい」と思える空気が、子どもの背中を押します。
まとめ:「無理」は“まだ”に変えられる
「自分なんて無理」という言葉の裏には、たくさんの不安や自信のなさが隠れています。
でもそれは、正しい言葉と関わりで、「まだできない」に変わっていくのです。
今日からできることは、小さな声かけから。
「今日、ちょっと頑張ってたね」「少しずつでいいよ」
その言葉が、子どもの「できるかも」を育てる第一歩になります。