読解練習:あれから、目が合わなくなった【Lv.8|中3〜高1向け】
前は、けっこう話していた。
席が近かったからかもしれないし、ちょっとしたことでよく笑い合ってた。
でも、ある日から、目が合わなくなった。
廊下ですれ違っても、ちょっとよそ見される。
こっちも気づいてるけど、気づいてないふりをする。
話しかけようか迷って、やめてしまう。
別にケンカしたわけじゃない。ただ、なんとなく「気まずい」が広がっていった。
クラスメートに「あの子と最近しゃべらないね」と言われたとき、
「別に」と答えたけど、正直ちょっとさびしかった。
何を期待してたのか、自分でもよくわからない。
でも、もしかしたら、あの笑いあってた時間が、少しだけ特別だったのかもしれない。
そのことに気づいたときには、もう目が合わなくなっていた。
◆ 問題
- 筆者は、「目が合わなくなった」ことにどんな気持ちを抱いていますか?
- 「何を期待してたのか、自分でもよくわからない」という言葉には、どんな感情のゆれがあると思いますか?
- あなた自身、仲のよかった人と距離ができてしまった経験はありますか?そのとき、どんなことを思いましたか?
- あなたは、「気まずさ」が生まれてしまったとき、どうしたいと思いますか?自分なりの向き合い方を考えてみましょう。
◆ ポイント
- 思春期特有の「ことばにできない距離感」や「関係のゆらぎ」に気づく。
- 「沈黙」や「目をそらす」行動の中にある感情の複雑さを読み取る。
- 他者との関係における戸惑いや期待の感覚を、自分の経験と照らし合わせて考える。