読解練習:よかれと思って壊したもの【Lv.12|高2〜高3目安】
クラスで孤立していたKくんに、親切にしようと決めたYさんは、
授業中に発言が少ないKくんに積極的に質問をふったり、みんなの前で話しかけたりした。
「みんなに仲良くしてもらえたら」という気持ちだった。
でも、ある日Kくんがぽつりとつぶやいた。
「目立つの、苦手なんだ。そっとしておいてくれた方がうれしいんだけどな」
Yさんは、自分のやさしさがKくんの居場所を奪ってしまっていたことに気づく。
「いいことをしたつもり」だったその行動が、Kくんの小さな安心をこわしてしまっていたのだ。
◆ 問題
- Yさんは、どんな気持ちでKくんに接していましたか?
- Kくんは、Yさんの行動をどのように感じていたようですか?
- Yさんの行動のどこに「ずれ」があったと思いますか?
- あなたが「よかれと思ったことが裏目に出た」経験はありますか?どうすればよかったと思いますか?
◆ ポイント
- やさしさは、「相手が求めているかどうか」によって意味が変わるという構造理解を促す。
- 良かれと思ってやったことが、逆効果になることへの気づきと自己検証力を育てる。
- 善意の「押しつけ」や「自己満足」といった価値の裏返しを読み解く力をつける。