「一生懸命覚えたはずなのに、いざテストになると出てこない…」
「参考書を何度読んでも、頭に入らない…」
そんな悩みを抱える子どもは少なくありません。実はその原因、多くの場合**「理解したつもり」になっている**ことにあります。
そんな時に試してほしいのが、ノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンが実践していた学習法、**「Feynman(ファインマン)テクニック」**です。
これは、**「誰かに教えるつもりで学ぶ」**というシンプルな方法で、記憶の定着率が2倍以上になるとも言われています。この記事では、家庭で簡単に取り入れられるFeynman式学習のやり方と効果をご紹介します。
1.ファインマン式とは?学びを“再構築”する方法
ファインマン式学習法の最大の特徴は、「教える」を前提に学ぶこと。
ただ読む・覚えるのではなく、「誰かに説明できるかどうか」を基準に理解を深めていきます。
基本ステップは4つ:
- 学びたい内容を選ぶ(例:分数の通分、関ヶ原の戦い)
- 誰かに説明するつもりで、自分の言葉で書く/話す
- うまく説明できない部分を見直す
- 再び説明して、“わかりやすさ”を磨く
このサイクルを繰り返すことで、ただ覚えるだけでなく「仕組みの理解」「言語化能力」「本質的な定着」が身につくのです。
2.なぜ「教える」が最強の復習法なのか?
人は、自分が話す内容をもっとも深く覚える生き物です。
実際、教育心理学では「学習定着率」は学習スタイルによって大きく差があるとされています。
学習スタイル | 定着率の目安 |
---|---|
読む | 約10% |
聞く | 約20% |
見る | 約30% |
自分で話す・説明する | 約70〜90% |
つまり、「説明する=学習の最終形態」。
しかも、自分の言葉で言い換えながら説明することが、深い理解へのカギとなります。
3.家庭でできる!Feynman式の具体的な活用法
■ ノートに「誰かに教えるつもりで書く」
普通の学習ノートを、“説明ノート”に変えてみましょう。
- 「○○とは何か?」と自分でタイトルをつけて、
- 小学生にも分かるくらいの言葉で説明文を書く
たとえば:
『関ヶ原の戦い』
→ 1600年、徳川家康と石田三成が戦った。勝った家康がその後、日本のリーダーになっていく。理由は、三成が民の人気がなかったことなど。
このように、難しい言葉を自分の表現で置き換えることが重要です。
■ 家族に向かって“先生ごっこ”をする
親や兄弟に向かって「ちょっと聞いて!」と授業のように説明させるのもおすすめ。
- 「社会のこの単元、説明してみて」
- 「理科の実験、どうだった?手順から教えて」
家族が聞き役になることで、説明する力・伝える力・構成力が鍛えられます。
「なるほど、よく分かった!」という一言が、子どもの自信に大きくつながります。
■ ぬいぐるみや鏡を使って“ひとり授業”
恥ずかしがり屋の子には、ぬいぐるみや鏡を相手に「先生役」を演じさせるのも効果的。
- 「このグラフ、何を表してるか説明するね」
- 「この英単語、どう覚えたか話すよ」
声に出して説明するだけで、記憶が深まり、苦手意識も薄れていきます。
4.完璧に説明できなくてもOK!“つまずき”が宝物
最初はうまく話せないのが当たり前。むしろ、
- 「何が分かっていないのか」
- 「どの部分があやふやなのか」
が**“浮き彫りになる”こと自体が、学習の収穫**です。
「説明しようとしたけど、途中で止まった」
それがまさに、次に復習すべきポイントなのです。
親はその場面で、「じゃあ、もう一回だけ一緒に見てみようか」と伴走者として寄り添うと、子どもは安心して学び直せます。
まとめ:教えることで、“自分の学び”になる
Feynman式学習法は、特別な教材も道具も必要ありません。
必要なのは、「誰かに教えるつもりで学ぶ」という視点の変化だけです。
- 勉強したことを自分の言葉で話す
- ノートに説明形式でまとめる
- 家族に説明してみる
この小さな習慣が、子どもの理解力・記憶力・表現力を大きく底上げします。
毎日の学習に「教える」という要素を取り入れるだけで、学びは一方通行から双方向に変わり、子どもの中に“確かな知識”として根づいていきます。
ぜひ今日から、お子さんに「先生役」を任せてみてください。
思わぬ知識の深まりと成長に、きっと驚かされるはずです。