スマホを持たない子は、“自分の中で考える時間”が保たれる―静けさと退屈の中に、思考力と創造力は育つ―


1. スマホがあると、空白の時間はすぐ“埋まってしまう”

今、子どもたちは暇さえあればスマホを手にし、

  • YouTubeを見る
  • ゲームを開く
  • LINEやSNSをチェックする

という行動を無意識に繰り返しています。

こうした行動が繰り返されると、

「何もしない時間」や「退屈な時間」を自分で使う力が失われていくのです。


2. 「スマホなし」の子にある“考える時間”とは

スマホを持たない子どもたちには、
意図せず生まれる“空白時間”があります。
その時間こそが、考える力・創造する力の源になります。

■ たとえば:

  • 通学中にバスや歩きながら空を見て「今日の天気は変わりそう」と考える
  • 公園のベンチで、ただボーッとしていたら「さっき友達に言いすぎたかも」とふり返る
  • トイレやお風呂で、頭の中で昨日の出来事を整理している

スマホがあると、これらの時間は“通知”と“情報の洪水”に飲み込まれてしまうのです。


3. 「自分の中で考える」からこそ育つもの

◎ 感情を整理する力

  • 「今日は何がうれしかった?」
  • 「あのとき腹が立ったのはなぜ?」
    内省する時間が、感情のコントロールを育てます

◎ 言葉を選び直す力

  • 「こう言えばよかったかも」
  • 「あの子は何を考えていたのかな?」
    人間関係の“反省”や“推測”が、共感力につながります

◎ ひらめき・創造力

  • 空想遊びや1人ごっこがどんどん深まる
  • 絵を描き始める・工作に没頭する
    “暇”な時間が創造の原点になるのです

4. スマホを持たないからこそ起きた、こんな日常

● ケース1:通学中に“街の変化”に気づく

スマホを持たないAくんは、いつもの道に新しい看板ができたことに気づき、「あのお店、変わったね」と家族に話す。
→ 観察力と話題の共有力が自然に育っている

● ケース2:家で1人の時間に“何かを始める”

スマホを持っていないBちゃんは、暇な夕方に自分で本を読み始め、読み終わったあと「この人、正しいと思う?」と家族に問いかけた。
→ 自分の考えを言葉にして、対話する力が芽ばえる

● ケース3:友だちと“時間を使って話す”

スマホを持っていないCくんは、遊びの途中でケンカになったときも、LINEで済ませずに「さっきのことだけど…」と直接話す。
→ 距離と感情を調整する“言葉の力”が鍛えられる


5. 大人の役目:「暇」と「静けさ」を守ること

子どもが手持ち無沙汰なとき、つい大人はスマホを渡したくなります。
でも、その“もてあます時間”こそが、

「自分で考える」経験をする最大のチャンスなのです。

スマホの代わりに与えたいのは:

  • 話しかけてみる時間
  • 紙と鉛筆
  • 図鑑や工作キット
  • 自然や風景

→ “受け身の刺激”ではなく、“能動的な思考のきっかけ”を手渡しましょう。


まとめ:「何もしていない時間」が子どもを育てる

スマホを持たないことは、不便さではなく“余白”を子どもに残す選択です。
その余白の中で、

  • 感情をふり返り
  • 自分の言葉を選び
  • 新しいことを考える

そうした「自分の中で考える時間」は、
スマホがなければ自然に生まれます。

思考力・創造力・対話力——どれも“スマホの外側”で育つ力です。

いまこそ、“持たせない”ことの価値を再確認してみませんか?