読解練習:正しさの終点【Lv.14|高3以上】
生徒会で「文化祭での食品販売を禁止すべきか」という議論があった。
衛生管理や安全の面から禁止を主張する声と、自由な表現や伝統の継承を守りたいという声がぶつかった。
どちらの意見にも、納得できる理由がある。話し合いを重ねても、どちらが“正しい”のかは決まらなかった。
そんなとき、一人の生徒が言った。「どちらも正しいから、正解が見つからない。じゃあ、どうしたらいい?」
その言葉に、議論は静まり返った。「正しさ」は、必ずしもひとつではない。そして、どこかで終点を引かねばならないときが来る。
折り合いとは、正しさをあきらめることではなく、共に残る不満を引き受ける覚悟なのかもしれない。
◆ 問題
- 生徒たちは、どんな意見の対立をしていましたか?
- 「どちらも正しい」という言葉は、どのような意味を持っていましたか?
- 「折り合いとは、正しさをあきらめることではない」とはどういうことでしょうか?
- あなたは「どちらの正しさも理解できるけれど決めなければならない」と感じた経験はありますか? それについて考えを書いてください。
◆ 指導のヒント
- 単一の「正解」を求める姿勢から、多義的な正しさの共存を考える視点へ。
- 対立する「正しさ」をどう調停するか、その心理的・社会的リアルを読み取らせる。
- 最終的な合意とは、すべての納得ではなく「どこに線を引くか」の選択であることに気づかせる。