早期流産は妊娠12週までの流産のことを指します。
妊娠22週未満の流産は7人に1人程度の割合で発生しており、染色体異常により発生する場合がほとんどで、妊娠した瞬間から流産することが確定していると言えます。
母親の食生活や行動が悪かったことにより流産したのではなく、妊娠そのものが上手く進まない可能性が一定割合であるようです。
- 妊娠5週目頃 妊娠検査薬にて陽性反応
- 妊娠5週目から9週目 初回の妊婦検診
- 妊娠6週目から9週目 心拍確認
- 妊娠12週目 心拍継続確認
1回目の妊娠
初回の検診まで
双方の両親への挨拶を済ませ結婚を決めてたものの、婚姻届提出の日取りについて、両親から進言がありました。
婚姻届提出日を結婚記念日にしようと考えていたため、二人のなかで〇月〇日に提出に行こうと話をしていたところで、両親からの進言だったので、少々戸惑いました。「その日は良くないから、〇月〇日にしなさい」と言われ、婚姻届提出までにかなりの期間を空けることとなってしまいました。
また、結婚式の日程についても色々と貴重なご意見があり、結婚を決めてから様々なイベントが終わるまで2年近くかかってしまいました。同棲は結婚を決めた直後からしていました。
結婚式は妊娠前にやりたいと思っていたので、妊活はしていませんでした。
そしてイベントが一通り終了したため妊活を開始し、3カ月後に初めての妊娠検査薬に陽性反応を確認することが出来ました!その時点で妊娠5週目の予想です。
二人で嬉しくなり、さっそく産婦人科を予約し、翌週に受診しました。
「おめでとうございます
妊娠していますね
2週間後にまた受診してください
本日のエコー写真です」
とうれしい言葉をいただきました。
入籍に結婚式、そして妊娠と、嬉しいことが続いていたので、さっそく両親に報告をしました。
妻の家庭では初孫となるはずだった妊娠であったので、本当に喜んでくれました。
子供が欲しいと思いながらも、結婚式の関係で長期間待っていたので、待望の妊娠に嬉しく思っていました。
初回の検診から2回目の検診までの2週間は非常に長く感じました。次の検診を待ち遠しく思うとともに、わが子に会える日を楽しみにしていました。
妊娠が分かってから少々体調が優れない日もあったので、職場の近しい人にはこっそりと報告をし、突然体調が悪くなったら御免なさいなんて言っていました。
2回目の検診 妊娠8週
1回目の検診から2週間後に2回目の妊婦検診を受診しました。
今回の検診で心拍の確認ができるはずです。
この時点では、まさか自分たちの身に 流産 なんてものが降りかかってくるとは思っていなかったので、流産に関して勉強したこともなく、何の知識もありませんでした。
検診の結果、心拍が確認できませんでした。胎児も2週間前からほとんど成長していません。
「心拍が確認できません
2週間前の検診時から成長がほとんどありません
この時点では確定できませんので、来週また受診してください
しかしながら、妊娠が継続しない可能性が非常に高いです。
今日明日にも大量出血があるかもしれないので、注意してください。」
幸福の絶頂から絶望の底に叩きつけられ、明日からどうしたらいいのか分からない。親や職場の人にはなんと報告をしたらいいのか。
先生が言っていた「この時点では確定できない」というのはどういうことなのだろうか。
表現できないくらい暗くて重い不安や疑問を抱えながら帰宅しました。
ほとんど会話も無いまま帰宅し、それぞれがスマホで早期流産について調べていました。
分かったことは
- 心拍が再開する可能性はほぼ無い
- 誤診であった可能性はほぼ無い
- 食生活他、母親に原因があった可能性はほぼ無い
- 15%程度の高確率で早期流産は起こっている
- 世の中には流産で悩んでいる人がたくさんいる
- 複数回の流産を繰り返す場合には母親か父親に問題がある可能性もある
両親や職場の人にはどう伝えたらいいのだろうか・・
両親には流産の可能性が高いことと、来週には確定診断だと伝えることが出来ましたが、職場の人にはどう伝えたらいいのか分かりませんでした。
結局、次の確定診断まで伝えることが出来ませんでした。
それでも、妊娠を報告した近い同僚からは「無理しないで大丈夫だよ」とか「こっちの立ち作業は僕がやっておくんで、あっちの座り作業をお願いします」とか気を使われている毎日が非常に後ろめたくて辛かったです。
騙したい訳じゃないけれど、本当のことを伝えられるほど強い心は持っていない。
本当は立っているのも辛いくらい。心がぐちゃぐちゃで今にも涙が溢れて来そうな毎日です。
どうにか考えないようにしようとしても、そんな器用なことはできません。
メンタルがボロボロで体調も悪くなっている状態を見た先輩が「つわりか?辛かったら休んでて大丈夫だよ。今日は忙しくないし」なんて声をかけてくれることもありました。
やさしさが辛い
それ以上に今の境遇が辛い。
3回目の検診 妊娠9週
確定診断当日
予想していたとおり、心拍は確認できませんでした。
「心拍は確認できませんでした
今回の妊娠は継続しませんでした。流産というかたちになります。
辛いでしょうが、手術が必要となります。
長期間お母さんのお腹にいるものも、お母さんの負担になるので、手術の日程を調整しましょう」
先生はゆっくりとした口調で、言葉を選びながら、こっちのペースに合わせて話をしてくれました。
覚悟はしていたけれど、涙が止まらなく溢れて来ました。
職場でもそうだったけれど、優しくされるのが辛い。
命が続かなかったのが辛い。
誰も悪くないと言われて、納得はしているけれど、心で理解できない。
その場で手術日の調整をしました。朝9時頃からの入院で、夕方4時頃には退院できるとのことでした。
職場に連絡をし、所属のトップに繋いでもらいました。
電話で流産のことを伝え、手術日とその翌日に休みをもらうことが出来ました。
職場のみんなには、その人から伝えてくれるとのことで、自分からみんなに説明する必要はないよと言ってくれました。
手術当日
手術は掻把法と呼ばれる方法で行うということになりました。
手術の詳細については割愛をしますが、予定通りの時間で終了しました。待ち時間や検査時間がほとんどで、実際の処置室に居る時間は1時間未満でした。
良くも悪くも、この悲しみと手術のバランスが取れていない感じです。
あまりにも呆気ない手術で体の中から大切なものが無くなってしまった。
悲しみが止めどなく押し寄せてくる。
流産の可能性を伝えられてから、ずっとスマホで流産について調べています。流産の発生確率や体験談をたくさん読みました。
妊娠前、自分が流産というものに直面する前には全く知らなかった悲しい世界が広がっていました。
体験してみて
人によって悲しいことの感じ方は違います。
何度も流産を繰り返し、自分よりもっと大変な思いをしている人の体験談が飛び込んでくることもありました。
「こんなに辛い体験をしている人に比べたら、自分なんてまだまだだ。この程度で悲しんでいたらいけないのかな」なんて感がえて、気持ちを整理しようともしました。
でも、全然できません。心の整理なんて簡単なものじゃない。
世の中の人と比べる必要なんてなかった。
自分が悲しいと思ったら、それは悲しいんです。
悲しさは比較するものじゃない。当然幸せも比較するものではないと思います。
人と比較して世界で一番悲しいとか、あの不幸な人と比べれば、自分なんて全然不幸じゃないから気楽にいこうとか。そういうことじゃない。
弱くていいし、受け止められなくていい。
時間に身を任せた方が楽な時もあって、そうやって悲しさを乗り越えてきたんだと思います。
悲しい時は悲しい。それがたどり着いた感覚でした。